アレルギーセミナー 平成16年5月16日(日)
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私(若大将)、この日は会長職を務める運動会が盛況に開催されるはずだったのですが、行いが悪いせいか雨天中止・・・ということで、急遽この講演会に参加することができました。 すると、思いがけなく非常に良い講演会で、分かりやすく整理された内容だったので、 以下にレポートします。 アレルギー公式 アレルギーには、喘息、アトピー、花粉症、鼻炎、蕁麻疹等いろいろありますが、次のように考えることができます。 (アレルギーの第一公式) アレルギー症状=アレルギー体質×アレルゲン(アクチュエーター) (アクチュエーターとは、アレルギーを起こすアレルゲン) アレルギー症状、すなわち、花粉症だったら、目が痒くなる、くしゃみが出る、喘息だったら息ができなくなる、アトピーだったら痒くなる等の症状は、アレルギー体質を持っている人が、アレルギーを引き起こす元になっているものに、接触することによって起こる。 花粉症であれば、花粉に触れることによって症状が出るし、ダニアレルギーの人は、ダニアレルゲンに触れることによって喘息だったら発作がでるという具合です。 しかし、この公式に、×(掛け算)が使われていることからも分かるように、アレルギー体質であっても、アレルゲンがゼロであれば、アレルギー症状は出ないのです。 一方、アレルギー体質でなければ、どんなにアレルゲンに触れてもアレルギー症状は出ないということになります。 (アレルギーの第二公式) アレルギー体質=体質遺伝+アレルゲン(イニシェーター) (イニシェーターとは、アレルギー体質をつくるアレルゲン) 何故、アレルギー体質になっていくのか? この公式は、アレルゲンに触れ続けることによって、だんだん、アレルギー体質になっていくという意味で、例えば、ダニアレルギーの場合、小さい頃からダニに触れ続ける、あるいは吸い続けることによってアレルギーを起こしやすい体質になっていくという具合です。 両親からアレルギーを起こしやすい遺伝を引き継いでいる人(あるいは、アレルギーになりにくい遺伝を持っていない人)は、アレルゲンに触れ続けていると、アレルギー体質になっていきます。 しかし、逆にいうと、アレルギーを起こしやすい体質遺伝でなくても、アレルゲンに触れ続けるとアレルギー体質になっていくとも言えます。そういう意味で、この第二公式には、+(足し算)が使われているのです。 要するに、体質遺伝がゼロでも、アレルゲンが加わり続ければ、アレルギー体質というところの値はゼロにはなりません。ですから足し算なのです。 そして、アレルギーを起こしやすい体質遺伝を持っていても、アレルゲンに触れることが少なければ、アレルギー体質にはなっていかないとも言えますが、アレルゲンに触れることがどんなに少なくてもアレルギー体質であることにはかわりがないということです。 (アレルギーを起こしやすい体質遺伝を持っていても、アレルゲンをできるだけ少なくする努力が、この第二公式の「アレルギー体質」というところの値を下げることになります。) すなわち、これら二つの公式からアレルゲンをできるだけゼロにする事を考えなければなりませんね。 ところで、両親ともにアレルギーなんて全く無いのに、何故、子供がアレルギーなんだろうか?と思われている方はいらっしゃいませんか? 例えば、Aという遺伝子は、「アレルギーを起こし難い」遺伝子だとします。そして、aという遺伝子が「アレルギーを起こしやすい」遺伝子とします。
アレルギーの種類 @摂食性アレルゲン →これは、食べ物に関することで消化器から入り込んでくるものです。 [このお話は、加代子先生の担当] 食物アレルギーは、食べ物が合わなくて出る場合と食べ過ぎによって出る場合とあります。ここで言う食べ過ぎというのは、お腹いっぱい食べるという意味ではなく、同じ物を毎日食べ続けることによって体内で処理できなくなって起こる場合のことです。 乳幼児の食物アレルギーは新聞紙上でもかなり話題になっております。 よく赤ちゃんの頭部にかさぶたのようなものが出来ている場合があります。そういう場合、少しすると耳切れが起こり、もっと酷くなると、脇の下や首やモモの付け根が切れてきて、じゅくじゅくして痒がる、といった症状がで始めます。 これはアトピーとして出ているのですが、これが小学生くらいになると喘息、成人近くになると鼻炎、その後、腎炎・・・という具合に移行していくケースがあります。いわゆる「アレルギーマーチ」と言われるものです。 そこで、そういう風に成らない為にどうしたら良いかということですが・・・ 前述の食べ過ぎという話ですが、昔は、お正月におせち料理などのご馳走を年に1回食べるという事でしたが、現代では、年中ご馳走を食べている状態です。 そこで問題なのが、
特に、油、たまご、牛乳、これが三大アレルゲンと言われています。そして、これらは昭和30年代に比べると、油が4倍、たまごも4倍、牛乳は9倍も多くとっています。 皆さんの台所には、冷蔵庫の中に、いつでもたまごと牛乳は入っていると思います。そして、流しの下には油があると思います。昭和30年頃は、たまごなんて、お祭りの時や誕生日、遠足の時くらいしか食べなかったようです。 また、牛乳もあまり飲まれていなかったようで、子供の頃にスキムミルクを飲んでいたように思います。だそうです。 ところで、油のとり過ぎは、脂漏型(じくじくになって油が浮いたようになる)の湿疹で痒みが出ます。また、たまごの場合は、湿ジン型で、ほっぺが赤くなったり、足の先など、心臓から遠い所に出ます。そして、牛乳の場合は、痒みはないのですが、身体全体に、何か、うろこ状のようなものがモノが出て、皮膚がぽろぽろ落ちるような感じがあります。 あと、小麦についてですが、昔は、うどんやそうめんくらいだったのですが、今では、スパゲティーやピザ、マカロニなど強力粉を使ったものを多く食べるようになりました。 昔、日本で取れるものは中力粉までで強力粉はなく、このようなタンパクの多いものは食べていませんでした。しかし、今では、毎日のように食べている状態です。 小麦の場合は、目の周りが赤っぽくなる胴回りが赤っぽくなるというような「パンダ型」とか言われます。 このように、子供さんがどんな状態かを観察して、何が食べすぎかを判断する一つの目安になるということです。 次に「食べ方の変化」 これも昔と違ってきていて、例えばお弁当「幕の内弁当」で言えば、6割くらいがご飯、あとはおかずですが、おかずも煮物とか、焼き物とか、酢物とかあえ物、だったのですが、今は、ご飯の方が少なくなって4割くらいになっています。そして、おかずも油を使ったものが非常に増えています。 このようにバランスが崩れると消化器の中の酵素の状態が全く変わってきます。 幕の内弁当のようにバランスが取れているといいのですが、肉、たまご、あぶらが多いおかずになってきますと、便の状態が悪くなってきます。そして、非常に臭い大便をされる方が増えています。 それから「食材の変化」 今では、すぐ近くで作っているものを食べているということが少ないですね。 生産農家で作って、都心部に輸送され、スーパーなどで買っている状態です。 この輸送ということによって、食品添加物(防腐剤、加工食品の色付け、味付け)が非常に増えます。そして、農薬も・・・ そして、これらは、1日に11グラム、7〜80種類で約大さじ1杯くらいを無意識に食べている計算になるそうです。これが1年になると約4キロ!これは、全部異物です。そして、蓄積していき肝臓が非常に疲れてきます。今、病気が増えているのは肝臓が働かなくなって免疫力が落ちて来ているとも言えます。 そして、これをたくさん含んでいるのがインスタント食品、レトルト食品、それから外食です。 これを防ぐ為には、妊娠中から食事に気をつける、伝統的な和食に戻す・・・ 伝統的な和食に戻すということは、日本は海に囲まれているので昔から何を食べて来ていたかということです。 例えば、米、魚、海草、野菜、豆、そして工夫されたものとして発酵食品(みそ、しょう油、酒、酢、みりん)です。 それから旬のモノを食べるということです。 季節=身体 にすることも大事ですね。 理想的には、この割合で食べると良いそうです。 A接触性アレルゲン →これは、皮膚粘膜から入り込んでくるものです。 例えば、睡眠中、一晩でコップ一杯の汗をかくと言いますが、汗をかいている皮膚に布団から出た埃が付きます。その埃にダニアレルゲンがあると、アトピーを引き起こすことがあります。 また、アトピーになると、じくじくした皮膚にダニアレルゲンが触れると痒くなります。布団の中で痒くなると無意識に掻き毟ってしまい、皮膚がシーツにこぼれます。 すると、シーツの上にこぼれた皮膚にダニがつき、それが、また皮膚を刺激します。 こんなシーツに何日も寝ていると・・・もう、お判りですね。 B吸入性アレルゲン →空気を吸うことによって呼吸器系から入り込んできます。 例えば、喘息の場合、ダニ、ハウスダストを吸い込むと発作が起きてしまいます。 0.7リットル×20回×60分×24時間≒20,000リットル これは、人間が1日に吸い込む量です。 1リットルのペットボトルで、2万本分! 仮に、1リットル中に10個のハウスダストがあるとしたら・・・20万個のハウスダストを毎日吸い込んでいることになります。 そして、その内の約7割が、アレルゲンになる可能性があるタンパク質系のものだそうです。例えば、ダニの死骸や排泄物、カビなど。 ところで、目に見えるわたボコリのようなモノは、見た目に気持ち悪いのですが、ほとんどが床に落ちてしまいますので割と悪さをしませんが、前述のような目に見えないハウスダストが問題なのです。 さらに、これらのほこりは繊維にくっ付きたがる性質があります。 繊維が織られると布地になります(洋服・カーテンなど・・)。 それが固まりになったモノが「布団」です。 だから、布団には埃がいっぱい付きやすいのです。 1日のうち6〜8時間は布団の中ですよね。 そして、ふとんは身体に当然のことながら(睡眠中)くっ付いています。 これが大問題なのです。 布団のほこりは、約7割がダニに起因するものです。 ダニは、蜘蛛科の生物で節足動物です。 蟹とか海老のように節があるのです。 ですから、乾燥してカラカラになるとパラパラになり、細かい粒子になって舞い上がるのです。 そして、寝ている間に、それを吸い込んでしまいます。 それを毎日吸い込んでいると、だんだんダニに対するアレルギーを起こしやすい体質になっていくのです。そして、ある日突然、ヒューと言い出し発作が起きるという具合です。これが喘息。 ですから、お布団を清潔にしておくことは当然のことです。 一方、現代の住宅は、高気密、高断熱になっています。 それは省エネの為、少ないエネルギーで冷暖房をやるためです。 この結果、換気が不十分になってきました。 そして、家の中の室内空気がものすごく汚れているようになったのです。 その空気を毎日2万リットル吸い込んでいるのです。 特に窓を開けない冬の期間、梅雨の期間、部屋の中の空気が汚れます。 喘息の発作が起こりやすい季節ですね。 さらに、天気が良くないから布団が干せません。 ましてや、今の時代、核家族化が進んで、家の中に誰もいない時間が長く、昼間は締め切り状態、夜も窓を明けないというように、ほとんど窓を開けないという家庭も多いのです。 特に寝室は、窓もドアも開けない、布団は敷きっぱなし(ベットなど)、《家の中で1番ホコリを出すのが布団ですので》、1番埃が多い寝室が1番換気をしない部屋になっています。こんなことを考えたら、怖いですね。 家事の「さしすせそ」の話 さ・・・裁縫→ミシン(作る喜び) し・・・しつけ→これは、昔から家庭の仕事だったんですね。「家庭教育が大事!」 す・・・炊事→調理器具の発達(おいしいものを作る喜び) せ・・・洗濯→(汚れたものが綺麗になる喜び) そ・・・掃除→ホコリを掃除しても、変化が目に見えないので喜びが少ない。 掃除はあまり面白くないのが問題ですね。 そして、このホコリを取り去るという掃除は、なかなか難しくなりました。 昔の家は、障子を全部空ければ、埃はきれいに風が取り去ってくれたのですが、今の家は、空けられる所を全部空けても、風が通らない所がありますね。 ですから掃除機に頼らざるを得ませんが、1番いいのはセントラルクリーナー(排気が外にしか出ないやつ)ですが高額ですね。 目に見えるチリとかは手でも取れます。 しかし、カーペットやカーテンの埃、布団の埃は手では取れませんね(当然!) ですから、これらのホコリをちゃんと取ってくれて排気がきれい(ない)な掃除機を使う必要があります。 間違いやすいのですが、吸引力が強すぎるのはダメです。 吸引力が強いということは、排気が強いということですね。(もう、お判りですね) 目で見えるチリ、ゴミを取るのは、それでいいかもしれませんが、ホコリを取るには適していません。 家の中で1番ホコリを出す布団の埃を吸うには、吸引力が強すぎる掃除機は適しません。 布団の埃は叩けば飛び出して来ますので、叩きながら吸い取ってくれるような吸引力を弱くした掃除機が最適です。 とにかく、適切な方法でハウスダストを取り除かないと、空気中の埃の7割とも言われるアレルゲンを毎日2万リットルも吸い続けることになりますからね。 *…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…* 私の質問 Q.空気清浄機の効果をどう思われますか? A.フィルター式の空気清浄機が良いことは言うまでもありませんが、性能によって差が あります。高性能の清浄機が効果的ですが、埃は繊維にくっ付きやすいので、清浄機 で室内の空気を完璧にきれいにするということは期待しすぎてはいけませんね。 Q.梅雨時の換気はどうすれば1番いいですか? A.今の住宅では、残念ながら除湿機に頼らざるを得ません。 換気ということは乾気ということで、ほこり+湿気で結露なんかでき、カビが生えます。 カビにダニが付きフンをします。ダニは40日くらいで死にますが、死んだらほこりに なります。そして、そのほこりにカビが生え・・・ ですから、エアコンの中には、カビやダニがいっぱいです。ですので、フィルターは ちゃんときれいにしておかないといけませんね。 *…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…*…* 喘息やアトピーの場合、布団の中でよく症状がでます。すると、よく眠れないということがありますね。自律神経の交感神経と副交感神経、昼の神経、夜の神経があって、それがちゃんと切り替わることによって、副腎から分泌されるホルモンのバランスだとか、そういった免疫の機能が働くようになっています。ところが夜ぐっすり眠れないということは、これがうまく働かなくなってしまいます。 ですから、夜ぐっすり眠るということは重要なポイントです。 すると、朝ごはんが美味しくなります。 そして、昼は活動的になり夕食が美味しく頂けます。 で、また夜ぐっすり眠れる。 結果的に、交感神経と副交感神経がうまく働くようになって、免疫機能がどんどん良く なります。夜ぐっすり眠れる環境を作ることは、非常に大事なことなのです。 結論として、身体に入ってくるアレルゲンを食事も含めて、できるだけ減らし、夜ぐっすり眠る!そうすることによって、アレルギー症状が、だんだん出なくなるということが期待できますね。 |