第11回/九州アレルギー週間/記念講演会
                       主催:財団法人日本アレルギー協会九州支部

日時/平成17年2月27日(日)
     13:00〜16:30
場所/天神ビル11F 10号会議室
     福岡市中央区天神


私(若大将)、2001年の第7回から参加し、今年で5回目の参加になります。毎年、新しい情報を聞けますし、年々、アレルギーのことが分かって来るような気がします。

皆さんにも、参考になればと思い、私なりにレポートします。

また、先生方におかれましては、熱心にご講演いただき感謝します。

 テーマ1 「いろいろな世代のアレルギー」  

司会  西間三馨 先生 (日本アレルギー協会九州支部長・国立病院機構福岡病院長)


講演  「小児のアレルギー」 濱崎雄平 先生 (佐賀大学医学部小児科教授)
     「成人喘息の治療」 庄司俊輔 先生 (国立病院機構福岡病院副院長)
     「高齢者の皮膚病」 占部和敬 先生 (九州大学大学院医学研究院・医学部皮膚科助教授)


 テーマ2 (花粉症での目と鼻の症状」

司会  石川 哮 先生 (日本アレルギー協会常任理事・熊本大学名誉教授)

講演  「耳鼻科から」 宗 信夫 先生 (宗耳鼻咽喉科医院院長)
     「眼科から」 熊谷直樹 先生 (山口大学医学部眼科助教授)
     


 《若大将からこのレポートに関して一言》

  このシンポジウムは、アレルギーに悩む一般の皆さんに正しい知識を身に付けて欲しいと
  アレルギー専門医の先生方から、ボランティアで開催していただいております。

  というのも、アレルギーに関しては特に、医師と本人や家族が協力し合って治療していかなければ
  十分な成果が上がらないものだからです。

  そういう意味でも、「このような会に参加できない方々にも皆さんから教えてあげて下さい。
  また、教えられるようにしっかり聞いて下さいね。」と西間先生も以前からおっしゃっておられました。

  という訳で、私は、このサイトを通じて皆さんに少しでもお役に立てればと考えております。

  毎年レポートを書いておりますので(多少重複することはありますが)、今回は、以前に書いていない
  内容や印象に残った部分だけを
私の言葉でレポートしています。

                          日本アレルギー協会 一般会員 須崎弘己

 西間先生の「今日の会で皆さん、アレルギーのことが随分わかった、予防法についてもわかった、治療法についてもわかった、これだけの事を周りの方々にも教えられる!というほどになって欲しい。」とのご挨拶で、講演会が始まりました。

 「小児のアレルギー」 濱崎雄平 先生

キーワード(免疫・アレルギー・アトピー性素因・アレルゲン)
ばい菌が入ってきて抵抗してくれる良い役割を果たしてくれるはずの免疫力が、過剰に反応し、悪い影響を及ぼすのがアレルギーで、起こしやすい人は、アレルギー抗体値(IgE抗体値)が高い、アトピー性素因がある人で、アレルギーを起こす原因(ミルク・たまご・ダニ・カビ・・・)をアレルゲンという。

例えば、インフルエンザウイルスが入ってくると、体が抗体を作り病気を治そうとする。これが良いように働く方で、免疫反応という。代表的なものがインフルエンザワクチンで、かかりにくくする。このように良いように働くのが「免疫」。

ところが、身体に不利に働く、1番症状が悪いのがアナフィラキシーといってショックを起こす。それから、花粉症、喘息、食物アレルギー・・・というような、本来なら体に良いように働いてもらいたいのに、何らかの作用がうまく行かなかった為に変になってしまう。

本来免疫は非常に大事なもので、例えばエイズ・・・後天性に免疫が全部やられてしまうと病気に対する抵抗力がなくなってしまうので、癌になったり感染症で亡くなってしまう。このように「免疫」は良いものであるが、ちょっとおかしくなるとアレルギーということになる。

アレルギーを起こす二つのポイント
ひとつは、「遺伝」で、例えば、家族の中にアレルギー疾患というのが集積される。お父さんがアトピーでお母さんが花粉症、子供が喘息になるといった具合に出るケースなどがあり、遺伝が関係している事は間違いない。

そして、遺伝的素因がある人が、小さい内にたくさんのアレルゲン(杉の花粉や・ダニ・たまご・牛乳・・・)を吸い込んだり、飲んだりしているとアレルギー疾患が起こりやすくなる。

もうひとつ、このように直接的原因ではなく環境的な因子で悪くするものがある。例えば、風邪をひいたり、室内汚染(ほこり・タバコ)、大気汚染・・・また、気候が変わる(急に寒くなる、台風が来る・・・)と喘息などが悪くなる。

よくある症状として
アレルギー性鼻炎(くしゃみ・鼻水・鼻詰まり)、結膜炎(目のかゆみ・涙が止まらない・充血する)、アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、蕁麻疹、アナフィラキシーショック、これらの症状がアレルギー疾患で、IgEが大きく関係している。

食物アレルギー
アレルゲンは食べ物で、いろいろな症状がでる。消化器系症状として、下痢・吐く・血便、皮膚では、痒みが出たり、赤くなったり、喉が「ゼーゼー」いったり、乳幼児に多く、たまご・小麦・牛乳などの西洋系のモノが上位を占めるようになってきた。

大人の場合は、カニ・海老に反応するケースも多い。

アレルギーは増えている
佐賀大学の近くの小学生880人にアンケートを取った結果、
○ゼーゼー・ヒューヒュー言った事がある 28%
○皮膚に痒みやブツブツが出たことがある 38%
○鼻炎の症状があった 20%
○結膜炎 10%
○何もない 40数パーセントとない人が少ない。

学生(22歳)100人に、アレルゲンに対して抗体がどれだけ作られているかというスクラッチテスト(ダニ・スギ・ネコ・カビ)をしたところ・・・ダニに対して75%という結果が出た。20年先には、100%になるという先生もいる。先生の年代(50歳代)では、それほど高い数値でない事を考えても、遺伝だけでなく環境が如何に大事かが分かる。

喘息の子供は増えている
年齢を問わず増えているが、治療を必要とする方は、100人中6〜7人で、20年前の倍に増えている。6〜7歳くらいの小学校入学前くらいに出始める場合が多い。アレルギー性鼻炎は、もう少し後になる。

症状は、ゼーゼー・ヒューヒューいう、咳・タン・息切れ・呼吸が苦しい・・・などで、寝ている状態では、まだ良い方で、本当にきつくなると(意識障害を除けば)寝ていられなくなり座った状態になる。夜に起こる事が多い。

どうして起きる?
大ざっぱに言うと、肺の気管支(気道)の肥満細胞(気道を収縮したり、腫れを起こしたりする)のアンテナに、ダニアレルゲンなどがくっ付くと、ヒスタミンなどが出て、分泌物を出したり、血管を腫らしたり、神経を刺激したりして炎症を起こす。すると、気道が狭くなるから呼吸が苦しくなり、鼻水が出たり、くしゃみが出たり、目が赤くなったりする。(本当は、悪い物が入って来たら、鼻を出して流したり、くしゃみをして吹き飛ばしたりしようとしているのだが)症状は苦しい。(即時型反応)

その後で、好酸球という細胞が、同じような物をちょっと時間をおいて、また出す。
こういう細胞が何種類か働いて、アレルギーが起きている。

気道
肺の気道を輪切り状態で見ると、正常な状態では、広く開いていて空気は通りやすいので呼吸も楽。ところが、喘息が何回も起きている内に、筋肉が厚くなって、細胞が壊れ、普通の状態でも(空気が通る所が)狭くなる。発作が起きると、もっと狭くなリ、息がしにくくなり苦しくなる。

また、気道に炎症が起きているかどうかが、喘息であるか否かのポイントで、今の治療としては、この腫れなどの炎症を良くしようという考えである。

アレルギー症状の原因を調べる
喘息であれば、肺の機能は良いか?気道が敏感でないか?を調べる。
また、原因を調べる方法には二通りあって、ひとつは血液検査でアレルゲンに対する抗体を調べる。(例えば、ダニに対しての抗体があります。。。などと分かる。)もうひとつは、皮内反応といって、手を針で引っかき、抗原液を滴下し、腫れが出たら陽性という具合に検査するもので、15分〜20分程度で分かる。(例えば、非常に問題なダニ!実際は、餌を消化する時に出すタンパクが問題で、このようなエキスを使って皮内反応で検査すると簡単に分かる。)

抗体は年齢によって違う
赤ちゃんのうちは、食べ物の抗体が高い人が多い。喉や鼻から入ってくるダニや花粉は、たくさん吸っているうちに後から抗体が出来てくる。そして、食物の抗体は、消化管(腸)の状態が良くなり入りにくくなり減ってくる。

喘息の子供達の悩み
学校を休みがちになる。発作は夜起きる事が多いので、昼間眠たくて勉強に集中できない。運動時に喘息が出やすく(運動誘発)、体育の授業が受けられない。楽しい遠足や、修学旅行に参加できない。スポーツクラブにも行けない。。。

小児治療の目的
○日常生活がきちっとできる。
○症状が無い。
○発作を止めるような薬を飲まなくてよい。
○学校を欠席しないで済むようにする。

治療
アレルゲンを減らす。良い薬が出来ているので薬で治療する。この二つが中心。
その他に、「鍛錬」「ストレス(心理療法)」

アレルゲン
ふとんを変える。カーペット、ペット、タバコは止める。このような環境調整が重要。
悪い部屋の例として、ジュータン、ぬいぐるみ、クッション、上等そうなカーテン、棚が多い(ほこりが付きやすい)・・・、などで、これらを改善すると喘息にはかなり良い環境になる。

鍛錬
息の仕方(腹式呼吸)を練習しておく。
運動では、水泳が有効。(理由としては、運動誘発を起こし難く運動量がある。水気があり、埃がなく、暖かい。)
長く走ったりするものは良くない。(インターバルトレーニング的な運動が向いている。)

薬による治療
二つの治療・・・
1.悪くならないように予防する薬物治療
  吸入器やスペーサーが良くなっていて子供でも使いやすくなっている。
2.発作を良くする為に気管支拡張剤の薬物治療
  たくさん使い過ぎないようにしなければならない。

前者の治療法が重要である。

発作が起きたら
腹式呼吸で息を整える。たんが詰まっているので、溶かすために水やお茶を飲ませる。そして、できるだけたんを出させる。気管支拡張薬を使う。しかし、このようなことが頻繁に起こるような事があれば、家で済ませようとせずに、病院で治療する必要がある。

最近は少なくなってきているが、喘息で死ぬ事もある危険な病気なので、気管支拡張薬に頼り過ぎてたくさん使い過ぎると危険である。

入院での治療
気管支拡張剤を、医師と看護士がちゃんと診ているので、安全に使う。必要であれば、酸素を吸わせる。血液を調べて、薬がちゃんと入っているかをみる。血液中の濃度をみる。合併症・感染症の有無を確認し、適切に処置する。

そして、日頃どのように生活するかを指導し、元気にして帰す。

しかし、入院しないに越したことはないので・・・
日常管理に気をつける。
治療法は、個人個人で違うので、「このようにしたら良くなった。」という知人の言葉で同じように治療すれば良いというものではない。年齢も、性格も、重症度も違うからである。

喘息は治るか?
半分くらいの子が症状が取れる。
症状が出なければ、小児科としては良いと考える。
それでも、症状が残っている子供については、今後も治療が必要である。

まとめ
アレルゲンを調べて、それを取り除くというのが最大のポイント。
重症度を診断する。
治療としては、発作を止める治療でなくて、予防の治療をしましょう!



「成人喘息の治療」 庄司俊輔 先生

喘息というのは
もともと広く開いている気管支が、狭く絞まってしまい「ヒューヒュー・ゼーゼー」いってしまう病気です。

                                   独立行政法人環境再生保全機構のパンフレットより


以前の治療の考え方としては
気管支の平滑筋が縮んで、空気が通り難くなるのだから、気管支拡張薬を使って気道を広くしてあげると、元に戻るという考え方だった。

しかし
年月が経っていくうちに気管支内の壁が厚くなって(炎症、いわゆる腫れ)いく事が分かってきた。

ただでさえ、発作の時に気管支が縮んで締まり気道が狭くなるのに、気管支内に炎症がおき壁が厚くなっていると、ちょっとした収縮でも狭くなってしまう。

重症度4のステップ

ステップ1 (軽症間欠型)   症状が週1回未満
  症状は軽度で短い
  夜間症状は月に1〜2回

ステップ2 (軽症持続型)   症状は週1回以上、しかし毎日ではない
  日常生活や睡眠が妨げられることがある :月1回以上
  夜間症状が月2回以上
   
ステップ3 (中等症持続型)  症状が毎日ある
  短時間作用性吸入β2刺激薬頓用が ほとんど毎日必要
  日常生活や睡眠が妨げられる:週1回以上
 
夜間症状が週1回以上


ステップ4 (重症持続型)
  治療下でもしばしば増悪
  症状が毎日
  日常生活に制限
  しばしば夜間症状



このような状況で、かなりの重症になると
発作が起き、タンなどが詰まると喘息死という事にもなりかねない。
以前は、年間6〜7,000人といわれた喘息死も、今では、3〜4,000人ほどに減ってきているものの、現実に、これだけの方が亡くなっている。


      前述のパンフレットに、炎症を表すためにイメージとして赤く色を塗ってみました。


最近の治療の考え方は
気管支内の炎症を治すことが重視されている。

炎症を抑えるのに効果的な薬は、ステロイドであるが、内服、注射、点滴などの使用の場合、副作用が心配されていた。
しかし、吸入による使用は、ほとんど副作用がなく、かなりの好実績例もある。

このように、吸入ステロイド薬を使って、気管支内の炎症を予防的に抑え、発作が起きたら、気管支拡張剤で症状を抑えるという方法が良い。

スペーサーの薦め
吸入薬を使う場合、直接吸うと薬がスプレー式に入り、吸い込む前に喉に付いてしまう心配がある。スペーサーを使う事により薬を効果的に吸い込むことが出来る。

ピークフロー
大きく息を吸い込んで力いっぱい息を吐き出す強さ(速度)をあらわす数値で、ピークフローメーターを使って日記などに記録していると医師との良いコミュニケーションツールになる。

本人が、最近、調子が良いと思っていても、実は、そうではなかったりするケースも多く、症状を上手に改善する為には有効である。

アレルゲンの回避
アレルゲンを回避することは言うまでもない。
代表的なモノは、ダニ、ハウスダスト、カビなど・・・。

 「高齢者の皮膚病」 占部和敬 先生

皮膚の構造
表皮の上の部分には、角層というものがありバリア機能を果たしている。
健康な皮膚だと、アレルゲンや細菌などが入り込むのを阻止し、身体の中からの水分が逃げ難くなっている。しかし、「かさかさ、じくじく」といったアトピー性皮膚炎では、このバリア機能が上手く働かない状態になっている。

健康な皮膚 かゆ〜い皮膚
                                財団法人 日本アレルギー協会のパンフレットのイラストを引用

そして、毛の横には汗や脂が出る栓があり、この表皮の下には、今話題のコラーゲンがある真皮というものがある。

高齢になるにつれ、
この角層部分も薄くなり、バリア機能も低下していく。
また、若い時には綺麗なピンク色のコラーゲンも光の刺激によるダメージで、青っぽくなってくる。
さらに、脂の出方も少なくなって、しっとりしていた肌も、シワが出てきてカサカサになるという具合に、各機能が低下してくる。

それとともに免疫力も低下し、アレルギー反応も減ってくる。
よって、アトピーも出にくくなる。

60歳以上の統計によると、最も多いのが湿疹皮膚病で、水虫を含めたカビ「真菌症」、皮膚の腫瘍などがある。湿疹皮膚病の中には、脂が少なくなってくる「皮脂欠乏症」、かなり減ってくるがアトピー性皮膚炎、アレルギー反応ではない湿疹(注)がある。

(注)これには次のような場合もあるので要注意!
膠原(コウゲン)病の中に、皮膚筋炎というものがあり、内蔵悪性腫瘍を伴う事がある。
そういう意味では、湿疹を甘く見て、市販の塗り薬で済ませていると見落す可能性があるので、皮膚科で受診して欲しいとのことだった。

アトピーについて
生後4ヶ月くらいから1歳6ヶ月くらいに発症し、幼児期には約13%、小学1年生では、11.8%、
6年生で約10%、大学生で8.2%、20代で9.8%、30代で8.7%、40代で4.6%、
50〜60代で2.6%という具合に減ってくる。
(この数字は、聞き取り難かったので大ざっぱ)

大人になって発症する方も多いのだが、全般的には、このように減ってくる。

また、症状としては、子供の頃には、ひじや膝の裏、背中、耳切れなどが多いが、大人では、顔や頸部を中心に症状が出て、治り難いという特徴がある。

アレルゲンとしては、幼児期の食物アレルギーや、ダニ、ハウスダストが中心だが、ストレスや、発汗などが影響する。

大学の調査で、ある小学生を対象に、昼休みに毎日シャワーを浴びてもらうという調査があって、好結果が出た例もあるそうだ。

改善するには
食事制限、アレルゲンの排除、スキンケア、薬物療法がある。

やはり薬物療法は欠かせない。
主に、ステロイド外用薬の強さをコントロールしながら使用するが、軽い場合は、保湿剤で十分な場合もある。

1999年にプロトピックという薬が認可された。
これは、アメリカではいち早く認可され、「ライフチェンジング薬」と言われているほど効果を上げている。先生の患者さんに(特に、顔の症状がある患者さんに)実際使われており、ほとんどの方が喜んでいらっしゃるそうだ。

ただし、(ステロイドに比べて副作用が少ないながらも)副作用が全く無いというものでもなく、刺激感はあるそうだ。

高齢者へのアドバイス
○保湿剤や入浴剤は効果的である。
 しかし、入浴剤に関しては、イオウが入っていないもの(イオウが入っていると刺激がある)。
○乾布摩擦は、皮膚への刺激があり過ぎるのでお勧めしない。
○石けん・シャンプーは、使わないと脂成分の汚れが取れないので、頭、顔、首、手足などに適切
 に使う。
○ナイロンタオルは使わない。
○空気が乾燥している時は加湿器を使う。
○食事はバランスよくとる。
○香辛料は刺激が強いので控えめに。
○規則正しく生活する。





休憩を挟んで、石川先生から花粉症全般の話があった後、後半の講演会が始まった。

「耳鼻科から」 宗 信夫 先生

(鼻の)三大症状
くしゃみ・鼻水・鼻詰まり
原因には、遺伝によるものや、もちろん花粉によるもの、大気汚染などによるものがある。

花粉症
やはり免疫によるアレルギー症状で、外から入ってくる物が不都合であるような場合、それを出そうとして、このような症状が出る。

準備期間
例えば、杉の花粉に長年さらされていて、ある段階を超えると症状が出やすい状態になる。
そこに抗原が入ってくると症状が出るため、今まで花粉症はないと思っていても突然に症状が出たと感じることもある。

鼻の機能
外から入ってくる空気を綺麗にする機能がある。
汚い物や刺激が強い物を気管支・肺に入る前に、あたためたり、湿気を与えたり、ゴミを取ったりしてくれる。

しかし、問題が起きてくると鼻の粘膜がはれたりして、鼻水や鼻詰まり状態になる。

前年の夏が暑かったら
代表的なスギやヒノキ花粉の飛散が増える。
去年は猛暑だった為、この春は平年の2〜3倍のスゴイ量だったらしい。
もうすぐスギ花粉が飛び始めるという頃、山のスギが茶色になっていたら、飛散準備完了状態。
次に暖かくなる日に一斉に飛び出す。

スギ→ヒノキ→雑草(イネ科)→秋になるとヨモギ
これ以外にも、カビの胞子、ダニ、ペット、ゴキブリなどの昆虫が原因になる事もある。

風邪の時期
特にスギ花粉の頃、風邪やインフルエンザが流行するため、合わせて症状が出ると酷いのでやっかいだ。

しかし、花粉症なのかインフルエンザなのかなどの診断をきちんと受ける必要がある。
花粉症の場合は、鼻水を検査すると好酸球、風邪の場合は、ウイルスや細菌をやっつけるタイプの白血球が検出され診断基準となる。

ガイドライン
○コミュニケーション
   治療方針を説明し納得してもらう。

○抗原の除去と回避
   生活管理など指導だけではできないので気をつけてもらう。
   @花粉の飛散状況などの情報を集める(ホームページで調べられる)
   Aマスクやメガネ等を利用すれば、かなりの花粉が抑えられる。そうすることによって薬の
    効き目が良くなる。
   B花粉が付き難い素材の服装をする。また、ゴルフや山登りなど花粉が多い場所へ行くの
    は控える。

○薬物療法 
   花粉が飛ぶ前、症状が出る前に、病院で治療をを受けておくと軽くて済む場合が多い。
   症状が出てしまったら、鼻に噴霧するようなステロイドを局部的に使うと効果的で、副作用も
   殆ど心配ない。
   
   市販の点鼻薬を使うと、すぐに鼻詰まりが治るが、長期にわたって使っていると、これを使わ
   ないと鼻詰まりが良くならなくなるので注意。 

○免疫療法
   即効性が無いので、花粉のシーズンが終わった頃から行う。長期にわたり病院に通う必要
   があるので、転勤や就職進学などで住所が変わらない時でないとマズイ。
   また、ショックや、副作用があることがあるので、設備が整った病院で行う。 

○手術 
   主に鼻詰まりの人に行うが、花粉症の方にはあまりしない。花粉の時期の前に手術しておく
   と辛い時期を乗り切れると言われる医師もおられる。
   しかし、効果は、3ヶ月〜6ヶ月。

鼻の粘膜をいたわる
排気ガスなど汚い空気はできるだけ避ける。
タバコはやめる。
マスクを使う。
加湿器などを活用する。

妊婦の方
薬が使えないと諦めなくても方法があるので医師に相談する。
(お風呂場のように湿った暖かい空気の中では、鼻が通りやすい。)

素人判断ではなくきちんと受診する
花粉症だと思って対処していたが全然良くならなかったので、きちんと調べてもらったら・・・
「副鼻腔炎」だったりしたら大変!治療法が全く違うのでご用心!
前述のように、風邪やインフルエンザかもしれない!


「眼科から」 熊谷直樹 先生

結膜炎
判り易く言うと、あかんべーをした時に見える部分で、ばい菌やウイルス、アレルギーによって起こる。

敏感で刺激に弱い
皮膚と同じように外界に接しているが、皮膚よりも敏感で刺激に弱い。例えば、1平方センチに数十個から数百個の花粉が付くという時、目の大きさから考えると、同じような量が入ってくる可能性があり、鼻と同じようにアレルギーが起こりやすい場所である。

15%くらいの方に症状
アトピー性皮膚炎の方の割合に比べれば少ないが、それでも15%の方が悩んでいる。世界的にみても、日本は、真ん中くらいの数で、ヨーロッパやアメリカはもっと多く、東欧の一部や、ロシア、中国には少ないらしいが、アンケートにすぐ「はい」と答えてしまう国民性の違いもあるが、アフリカや中近東、サウジアラビアにも多いらしい。いまや、世界中の問題。

年齢別
10代から20代に多く、10代では2割を超え、だんだん減ってくる。以前は幼児やお年寄には殆どみられなかったが、最近では、60代や70代になって初めて発症する方や3歳くらいから発症する方もいるので、0〜2歳を除いて、全ての年齢に発症する可能性がある。

  
         ※思春期の男性は特に要注意

春季カタル(しゅんきかたる)というアレルギーの仲間の病気がある。

春から秋にかけて悪化し、冬に緩和することを繰り返すアレルギー性結膜炎で、原因はダニ、花粉、塵埃などによると考えられている。小学校から中学校にかけて、特に男の子に多く、ほとんどの場合アトピー性皮膚炎(喘息の場合も)をもっている。

黒目にも症状が出たり、片目だけ開けなくなるように痛みを伴ったり重症化することもあるので、花粉症とは区別して注意する事が必要である。症状の頻度は、全体で言うと約2%程度だが、思春期では1割程度になる事もある。


色々な花粉で発症する
代表的なスギ、ヒノキの花粉の影響が多いが、イネ科の植物にも多く、地域性もある。例えば、北海道では白樺などもある。

また、農家で、うめ、キュウイ、梨等の花粉を常に受けていると症状が出る場合もあるらしい。

花粉症(アレルギー)の特徴
アレルギー性結膜炎の特徴は、第一に痒みである。その他に、目の充血や不快感があり約半数くらいの方には鼻炎が伴う。

花粉などによるアレルギー症状かどうかの診断(判断)は、見た目では難しい。なので、一定の時期に同じような症状患者が増えると花粉症ではないかと言う判断はできる。

また、イネ科の花粉(6月から初夏)で、野原などで野球などのスポーツをよくされる方にもアレルギー症状が出るが、いずれにしても、99%の場合痒みが出るので、痒みが出なければアレルギー結膜炎ではないとも言える。

視力障害になる事は殆ど無いが、労働力が落ちるなど生活の質が落ちる。

花粉症ではない場合
痒みや充血などの他に粘り気のある目やにが酷く痛みを伴う場合(アトピーの方は特に注意)は、他の病気である可能性があり、目薬も効かないので眼科を必ず受診する必要がある。

病院での検査
結膜などを調べて好酸球があればアレルギー。
検査時間も10分程度で分かるそうだ。

治療
○抗原回避
 花粉アレルギーがある方でも花粉が無いところでは症状は出ないので、家の中では窓を閉めておけば症状は出ないが、外から帰って来た人が不注意にも服を室内でパタパタさせたのでは何にもならないので、家族の協力も必要である。

 また、ゴーグルをすれば目には完璧に花粉が入らないが、外出時にめがねをするだけでもかなりの効果がある。

 帰宅後は、目の周りを拭くことは大事だが、洗顔はしない方が良いかもしれない。洗顔液に良くない刺激物が入っていたり、顔に付いた花粉が洗顔液に溶け、洗顔液から目に入る事もある。

 また、水で濡らしたくらいのタオルで目を抑えると症状が和らぐ。(氷で冷やしすぎるのはダメ)

○減感作療法
 昔はやっていたが、今ではない。

○薬物療法(点眼が中心)
 目薬には、抗アレルギー剤と抗ヒスタミン剤がある。抗アレルギー剤は、即効性は無く、痒みを止める効果は無いので痒みが出てから使用するのではなく、症状が出る前に1日4回などの定期的な点眼を守る必要がある。

 抗ヒスタミン剤は、即効性があると言われていたが、目の場合、それも疑問らしく抗アレルギー剤と同じように考えていいくらいだそうだ。

 いずれにしても、花粉症がある方は、症状が出る前から定期的な点眼をしていると効果がある。

 痒みが極端に酷い場合は、通常、花粉症には使用しないが例外的にステロイドを短期間使用することもあるが、眼科医の指導の下に必ず行う。(白内障や緑内障の副作用が心配なため)

目薬を使うコツ
花粉が目にたくさん入っていては目薬だけでは効かないので、やはり花粉を回避することが必要。

目薬を使っていると、だんだん症状が良くなっていくが、使用をやめると、また症状が出てしまうことも多い。目薬が効いているから症状が和らいでいるのか時期が過ぎたのか分からなくなる事もあると思うが、目薬に副作用はないと言っていいので、症状が出る前からはじめて、完全に時期が過ぎるまで続けた方がいい。

受診の勧め
花粉症で視力障害は殆ど無いが、花粉症だと素人判断すると危険な病気もあるので是非受診した方が良さそうだ。


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