【腰痛】ぎっくり腰とは?-急性腰痛症-(Hexenschuss)【疑問】

筑波大学 体育専門学群 卒
筑波大学大学院 人間総合科学研究科 体育学専攻 博士前期課程 スポーツ障害・コンディショニング論 卒
体育学修士 須崎 弘太
kohta@suzaki-futon.com

腰痛とは

まず腰痛という言葉について知らなければいけません。腰痛には様々な種類があります。
筋筋膜性腰痛・腰椎椎間板ヘルニア・脊柱菅狭窄症・腰椎分離症・すべり症etc…
これらを総称して腰痛と呼ばれます。腰痛の原因は、急な動作をした際に筋肉が傷ついたり、腰周辺の筋肉が疲労して凝り固まってしまっていたり、長時間背骨に負担がかかったり、 加齢などにより骨が変形してしまったり、病気であったりなど挙げられますが、痛みが発生する詳しい原因はわかっていない場合が多いのです。

腰痛で苦しみ、悩んでいる人は大変多く見られます。一生のうちに腰痛を体験する人は実に8割近いという報告があるくらいです。 多くの人々を悩ませる腰痛ですが、腰痛を発生するようになった理由は人間が二足歩行になったことが原因といわれています。人間には高い知能があり、 そのため他の動物と比較すると脳の重量が大きくなりました。その結果、頭部の重みを頚部のみで支える四足歩行から頭部の重みを全身で支える 二足歩行になったといわれています。また二足歩行になったおかげで両手が自由になった事も人類が発展してきた理由の一つと考えられます。

二足歩行になった人間の腰部は体の中心となり、あらゆる動きや力を支える基盤となりました。その結果、腰部は多大な負荷を受けるようになりました。 しかし、腰部は背骨1本のみ(正確には少し違うのですが…)でその負荷を受けとめています。そうなると必然的に背骨に付着する靭帯や椎間板やその他の軟部組織、 筋肉への負担が強くなってしまうのです。

その負荷が積み重なることにより痛みを発生すると考えられる腰痛が大半を占めています(non-specific low back pain : 非特異性腰痛症)。 さらには、無理な姿勢での作業の継続や負担が大きい姿勢で強い力を急に出そうとすれば当然腰への負荷は一気に高まり、それまでの負担と相俟って ぎっくり腰を引き起こす可能性も高くなってしまいます。

【腰痛】腰痛のデータ【布団】

ぎっくり腰とは?

魔女の一撃とも呼ばれています


ぎっくり腰とは急性腰痛症とよばれるもので、急に腰部に激痛がはしる症状として有名です。 

ふとした瞬間や、急な動作、重い荷物を持とうとしたとき、体を回旋(捻った)ときなどにその場にうずくまらなければいけないほどの激痛が走ると言われています。 あまりにも強い痛みが急にやってくることから

欧米ではその病態から「魔女の一撃」(独: Hexenschuss) とも呼ばれています。

椎間板ヘルニアや腰椎椎間関節捻挫と呼ばれる症状で起こる場合もあるとされるものの、多くは原因が分からず、 やはり非特異的腰痛症と呼ばれることがあります。


勘違いしがちなことですが、ぎっくり腰(急性腰痛症)というのは病名や怪我の名前ではありません。
症状名です。何が違うのかといわれると、説明が非常に難しいのですが、、、


(例)
症状名 ぎっくり腰⇒急に腰が痛くなった状態(捻った時・重いものを持ち上げた時 etc…)
病名  ヘルニア⇒なんらかの要因で椎間板内の髄核が飛び出し神経を圧迫しておこる傷害


違いがわかりますか?

ぎっくり腰の原因

ぎっくり腰の原因はあんまりわかっていないんです。
  • 重い物を持った
  • 急に体を捻った
  • 過体重
  • 筋肉の疲労
  • 姿勢不良

ぎっくり腰の原因としてはこのようなことが言われています。


しかし、ぎっくり腰を引き起こすきっかけであり原因とは言いにくいものや、確かにそうかもしれないけれど科学的根拠に乏しいもの、 そもそも関係があるのかすら不明なことなど実はあまり詳しくは分かっていないのです。(病名・傷害名ではなく症状名なので特定しにくいのかもしれません…)

現在までの研究やデータでは、結局のところぎっくり腰を引き起こすリスクというものはあまり分かっていないのです。
様々な因子が重なりあって発症するものだろうとは思います。なので特定の因子が原因というのは言い切れないかもしれません。


ぎっくり腰の治療


よく腰痛の時は温める方が良いのか冷やす方がいいのか議論されると思います。
ここではスタンダードな応急処置を紹介いたします。

腰痛は慢性化しやすく、そう言った場合の対処は様々だと思いますが、
ぎっくり腰と呼ばれるような急性の怪我の場合にはRICE処置(PRICES処置という人もいます)をお勧めします。

  • R・・・REST  (安静)
  • I ・・・ICING  (冷却)
  • C・・・COMPRESSION (圧迫)
  • E・・・ELEVATION  (挙上)

です。PRICES処置ではこれにProtect(保護)とStabilization(安定・固定)が加わります。

これは怪我(捻挫など)をした時などに行われる応急処置の原則と言われるものです。
急性の傷害の場合では、痛みのある部位周辺で炎症が進んでいることが考えられます。 炎症は怪我の回復に不可欠な生理現象ですが、過剰に起こってしまうと回復が遅くなってしまいます。

ぎっくり腰に関して挙上などはできないと思いますが、安静と冷却は行うべきだと考えます。

※今回は急性期の治療(処置)に関してのみです。

ちなみに、ぎっくり腰を予防できると考えられているトレーニングやエクササイズに関しては
次を参照してみて下さい


発症しておこる症状


ぎっくり腰の症状と言われて、まず思いつくのはその場でかたまり、全く動く事ができなくなる状態では無いでしょうか? 動けないほどの激痛に襲われる事もよくありますが、それ以外にもぎっくり腰と呼ばれる症状では次のよう事が起きるといわれています。
  • 動作を起こすと激痛が走る
  • 椅子に座れない
  • くしゃみや咳をすると痛む
  • 時間と共に痛みが強くなってくる
  • 横になる(膝を曲げた状態)と楽になる

ぎっくり腰というのは症状名ですので、病名ではありません。 そのため、一口にぎっくり腰といってもどのような種類の腰痛かによって、治療方法が変わってきます。ヘルニアなのか狭窄症なのかすべり症なのかetc…
さらには症状名なので、原因が特定しづらいことも、ぎっくり腰の根本的予防がはっきりできない要因の一つだと考えられます。
信頼できる診療機関にて診断・治療をしてもらいましょう。

注意!!

長期間の安静は避けましょう!

若ジュニアから一言!
ぎっくり腰は重い荷物を持った時や、急に体を回旋させた時に起こるといわれます。

しかし、重い荷物を持つことは頻繁にあるし、体を回旋させることもあるけど毎回ぎっくり腰にはなりませんよね?その原因ははっきりしていないのですが、 やはり筋肉に疲れがたまりその状態から強い負荷がかかることによってぎっくり腰になる場合が多いと考えられます。

日常の生活からいかにその疲労を取り除けるのかということが問題になってきます。
そして疲労を取り除くのは睡眠です!睡眠環境も考え直してみてはいかがでしょうか?

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